Modern Ballroom Dancing

 1922年に第1回世界ボールルームダンス世界選手権優勝者となり、その後1924年に現在のボールルームダンス4種目(ワルツ、タンゴ、スロー・フォックストロット、クイックステップ)の基本技術を標準化した委員会の主要メンバーとなった、ビクター・シルベスターという有名なダンサーがいます。そのビクター・シルベスターが著者としてまとめたModern Ballroom Dancingという本があります。その本の原文を探したのですが、見つからず、その本の2005年改訂版の翻訳書を購入しました。

その中に、初心者にとっても役に立つと思われる個所がありましたので、抜粋して紹介します。とりあえずタンゴの基本について載せました。

改訂版にはラテン種目のことも書かれていますので、お勧めです。この記事の末尾に購入のための情報を載せておきました。


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16 タンゴ 196ページ

 タンゴの基本の踊りには広いスペースを必要としませんし、初心者が習うにも大変シンプルな踊りです。音楽は2/4拍子(1小節に2拍あります)、ビートがはっきりしているので音は取りやすいでしょう。フィガーの練習に入る前に、音楽をよく聞き、ビートに合わせて手を叩く練習をするとよいでしょう。

● ホールド

 タンゴのホールドは他の種目とは少し異なります。女性は他の種目のときよりも男性の右サイドに位置します。男性は右手をより深く女性に回すことで男性の右サイド(頭から足まで)は左サイドより少し前方になります。この形はタンゴの前進ウォークの特徴です。女性は左手を男性の上腕の少し上、後ろ側に置きます。男性の左手前腕と女性の右手前腕は少し自分たちの方に向けて曲げます。

● 前進ウォーク

 これはほとんど日常生活で歩くのと同じで、1歩1歩を自然な歩幅で歩きます。足の使い方は、はじめにヒールが床に着き、次に足全体(WF=ホール・フット)が床に着きます。1拍に対して1歩踏み’スロー’とカウントされます。(注:タンゴでのクイックのステップは1/2拍です)。1歩1歩を力強く、しっかりと踏み出します。これがとても大切なポイントです。

 タンゴのホールドの形により、左足前進のステップはどれもわずかに上体を横切るようにステップし、右足前進のステップはどれもオープン・ポジション、即ち、上体を横切らない形でステップすることになります。この正しい形を習得する方法として、左足前進では、左膝の後ろ側が、右膝の前側を触れながら通過します。右足前進では、右膝の前側が左膝の後ろ側を触れて出ていくようにします。同時に、両つま先が同じ向きになっているよう気をつけます。このとき上体はわずかに左の方に向いています。このウォークを繰り返すと、わずかに左へカーブが描かれます。

● 後退ウォーク

 これもできるだけ自然に行います。後退する足は常にトウが先に床に着き、次にボール、そしてヒールが着きますが、ヒールが床に着くのは、もう一方の足がその傍らを後ろへ通過する時です。
 
 タンゴホールドの形から、右足後退のステップはどれもわずかに上体を横切るようにステップし、左足後退のステップはどれもオープン・ポジションになります。前進ウォークで述べたように、後退ウォークで正しい形を習得するには、右足後退では、右膝の前側が左膝の後ろ側に触れながら通過するようにし、また、左足後退では、左膝の後ろ側が右膝の前側を触れながら通過するようにします。当然のことですが、こうした後退の動きを繰り返すと、わずかに左へカーブが描かれます。

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書名  モダン・ボールルーム・ダンシング (2010年12月1日初版
    原著 Modern Ballroom Dancing 初版1947年、改訂版2005年)
著者  ビクター・シルベスター
訳者  神元 誠・久子
出版社 株式会社白夜書房


  • 最終更新:2012-08-14 21:48:46

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