英語の大和言葉

日本語には、大和言葉(やまとことば)と漢語(からことば)があります。それぞれ土着語と外来語ですね。

たとえば、「はじめる」というのは大和言葉で、「開始する」というのは「開始」という漢語に「する」をつけて動詞にしたものです。

一般的には大和言葉はやわらかく生き生きしており、話し言葉によく使われます。それに対して漢語と言うのは、日本に輸入された由来も関係しているため、堅苦しく聞こえ、どちらかと言うと書き言葉に使われます。

これとよく似た歴史が、現代英語にもあります。

ある本によれば日常使用される1000語のうち6割は土着語(古ドイツ語など)、3割がフランス借り入れ語、1割がその他からの借り入れ語と言われています。本当はもっと複雑ですが、簡単に分類すると上のようになります。

これだけ借り入れ語が多い理由は現在の英国が昔からいろいろな民族が入れ替わり支配しておりそのつど支配階級の言語が入ってきたことによります。たとえばフランス語が多いのは、1066年にノルマン人による征服がありその後約200年間は英国がフランス語を話す支配階級によって統治されていたためです。

それ以降も宗教、学問、公文書にはそれ以前の支配階級の言葉であるラテン語が相変わらず使われていましたが、そのころの宮廷、貴族、法曹など上流階級の唯一の話し言葉はフランス語でした。そのため本来語を話す中産階級にも徐々にフランス語が浸透していったとは言え、一般的にはフランス語は上流階級の言葉、本来語は庶民の言葉としてもっぱら使用されていたわけです。

というわけで現代英語でも土着語はやわらかく生き生きとした表現ですが、外来語は堅苦しく聞こえます。
英語では物事を開始するという意味では、begin(土着語)とcommence(外来語)の二つの言葉がありますが、これらを日本語に当てはめるとすれば、以下のようにするのがふさわしいと思われます。

  begin はじめる
  commence 開始する

英語の土着語と外来語の見分け方ですが、ざっくりいうと

  土着語  短音節が多い。不規則活用する動詞、形容詞、副詞などに多い
  外来語  複音節の言葉が多い。規則活用する動詞、形容詞、副詞などに多い

ですから、和文英訳や英文和訳をするときなど、これらの使い分けに注意すると、より自然な文章にちかづけることができます。

  • 最終更新:2009-10-26 21:50:12

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